11年間、韓流ドラマに出なかったイ・ヨンエさんがテレビに帰ってきます。「チャングム2」
は彼女の気に召さなかったようですが、今回の『師任堂』は実話がベースになっていて本物
志向の強い彼女にピッタリです。韓国では8月にクランクインし、来年の上半期から放映予
定です。全部取り終わってから放送するということは、イ・ヨンエさんの意向だとおもわれ
ます。韓国ドラマの場合、放送途中で視聴者から「彼女を殺すな。延命しろ。」と言ったリ
クエストがウザイということです。途中から物語が10回ぐらい伸びたりしますから、韓国の
場合は。
日本はたぶん来年の秋からと思います。早く見たい人はネットでどうぞ。さて今回のドラマ
は16世紀の李氏朝鮮王朝時代のものです。主人公は5万ウォン紙幣の彼女「申師任堂」
です。名前は伝わっていないとのことです。この師任堂というのは、古代中国周王朝の文王
の母・太任を師として見習うと言う意味だそうです。原語のタイトルは「사임당」(師任堂)
となっております。
お父さんは名賢と言われた申命和で、そして彼女の三番目の息子が李栗谷(5千ウォン札の人物)です。これに絡んでくると思われるのが彼女より3歳年上の李退渓(千ウォン札の人物)で、おそらく物語中では師任堂に思いを寄せる人という設定になるかもしれません。李退渓と李栗谷は朝鮮朱子学の大家で李滉(退渓)は理気二元論において、理と気は互いに独立して対立しており、どちらか片方が欠けると宇宙を構成できないという。それに対し李珥(栗谷)は、理は無形無為の存在であり気は有形有為の存在として、理は気の主宰者ではあるが気は理が乗るだけであり、一元論でも二元論でもなく宇宙の構成は理と気がそれぞれ互いを包括しているという気を念頭に置いた主張を行ったという。よく分かりません。いったい何のことでしょう。小倉紀蔵先生の「韓国は一個の哲学である」を読んで解説できるようになりたいです。で、このふたつの学派は鋭く対立するんですね。いつものことではありますが。派閥を作る、対立するというのは人間の本能ですから仕方がありません。また李栗谷は豊臣秀吉の文禄の役(1592年)に遡ること9年、朝鮮の国防が手薄なことを心配し14代国王宣祖に対し「十万養兵」を説くなど先見の明がありました。これは日本や女真族に備えるものでした。
物語は1503年彼女の誕生から始まります。時は第10代国王燕山君の治世で国は乱れ、三大悪女のチャン・ノスクが暗躍していた時代です。師任堂が3歳のときに燕山君は暴君として廃され、第11代国王中宗が起ちます。彼の治世はその後38年間続き安定していたかに見えますが、彼の三番目の王妃の尚宮にこれまた3大悪女のチョン・ナンジョンがいるのです。これでトラブラないわけがありません。
師任堂は19歳で李元秀に嫁ぎ38歳でソウルに移ったとありますが、物語ではもっと早くソウルデビューとなるでしょう。彼女は7人の子を儲け、三男李栗谷を33歳(1536年)で生みます。彼女は1551年で亡くなっていますので、栗谷が16歳のときに亡くなっているということになります。栗谷は神童で九回受験した科挙で全て状元だったため「九度壮元公」と呼ばれています。ドラマ的には官僚となりすばらしい活躍をする我が子を見て母としての師任堂が喜ぶ姿を見たいものです。
さて、彼女は家庭的にも恵まれさらにはすごい才能の持ち主で、たくさんの絵画や詩歌を残しています。
また面白いエピソードの持ち主で、
「常日頃から夫である李元秀に、もし自分が先に死ぬようなことがあれば、
子どもたちの将来を考え絶対に再婚はしないで欲しいと言った。」とか
「ある時、夫に科挙合格のため10年間離れて学業に専念することを約束
させ、ソウルに彼を見送ったことがあった。だが夫は数日で家に戻ってし
まい、そんな彼に師任堂は裁縫箱から鋏を取り出し、「この世に未練はあ
りません。あなたが約束すら守れないなら、私は自決して人生を終わらせ
ようと思います」と言った。」とか。なかなか激しい女性だったようです。
これらのエピソードは必ずドラマのなかで出てきそうです。
ドラマの中では、この夫をダメ亭主として描くのでしょうか、それとも片時
も彼女のそばを離れられない愛妻家として描くのでしょうか、気になるところです。
16世紀の朝鮮は夫が妻の家に住む風習が残っていたと思われ、彼女の母親も有力者の
一人娘で、彼女もまた一人娘であったから、相当裕福な暮らしをしていたと思われます。
漢詩も作っています。
踰大關嶺望親庭 --- 申師任堂
慈親鶴髮在臨瀛인데 어머님은 백발이 되어 강릉에 계시건만
身向長安獨去情이여 이 몸은 서울향해 홀로 떠나는 마음이여
回首北坪時一望하니 머리돌려 북평 땅을 한번 돌아보니
白雲飛下暮山靑이라 흰구름 아래로 고향산천은 저물어가네.
臨瀛 : 강릉의 옛이름 ·北坪 : 강릉에 있는 지명. 주제 : 친정어머니를 떠나는 여인의 한.
http://jkch.namoweb.net/cham/seoye/jaryo/jalyo/han-si.htm
老いた母を故郷に残し
ひとり都に向かう
ふり返れば北村は遠くかすみ
白い雲だけが
暮れ行く山を駆け下りる (「大關嶺を越え実家を望む」)
同じ内容ですが表題が異なるものがあります。こちらは表題が『優しい母との泣き別れ』となっており、分かりやすいです。
읍별자모(泣別慈母)-신사임당(申師任堂)
어머님과 눈물로 이별하고-신사임당 (申師任堂;1504-1551)
慈親鶴髮在臨瀛(자친학발재임영) : 인자한 우리 엄마 흰 머리 되어 강릉(임영)에 계시고
身向長安獨去情(신향장안독거정) : 이 몸 서울로 홀로 떠나는 심정이여
回首北村時一望(회수북촌시일망) : 어머니 계신 북촌으로 고개 돌려 바라보니
白雲飛下暮山靑(백운비하모산청) : 흰 구름은 날아 내리고 저문 산은 푸르기만 하네
http://mamstar.com.ne.kr/gamsang/dl/gam91.htm
右が若い頃の師任堂を演じる女優さんみたいです。ヨンエさんがいくら美人でも、
子供を二人も生んで処女の役は無理があるでしょう。ちょっと重量級にもなって
いるしね。
Her story じゃなくって The money story にした方がいいかも。(笑)
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