黒澤映画をはじめて見たのは学園祭でした。屋外で見ました。その日は寒かったので、毛布を持って行き、包まって見ました。『七人の侍』と『隠し砦の三悪人』でした。風でスクリーンがたなびくなかで見ました。それ以来黒澤映画のファンになりました。四十三年前のことです。
今は便利になり、DVDレコーダーに録画しているのをいつでも見ることが出来ます。ファンにはありがちなことですが、自分が見ているから、他の人も見ているものと思って話をしてしまいます。黒澤映画を見ていないというのは、アニメで宮崎駿の作品を見ていないのと同じぐらい、致命的なことです。(笑)
勝負に敗れた田所兵衛に情けをかけ、真壁六郎太が兵衛の首を落とさなかったのです。今は囚われの身となっている六郎太を兵衛がなじります。『なぜオレを殺さなかったんだ』と。そのとき同じく囚われていた雪姫が一喝します。『これが音に聞く田所兵衛か。人の情けを活かすも殺すも己の器量次第じゃ。』
一夜明けて、刑場へ護送されるそのとき兵衛は味方を裏切り雪姫と六郎太を逃がすのです。そして最後の清々しい捨て台詞が『裏切り御免』

シビレます。
この二つのセリフが特に心に残っているのは、したかったけれど自分にはそうすることができなかったからです。
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