東京へ行くので、適当な本を読みながら行こうと思った。本棚の中から僕は迷わず『墨東綺譚』を抜き出した。東京にまつわる本は他にもあるけれど、何故この本を選んだか分からない。
東京へは韓国語の勉強をしに行くのだけれど、それ以外にも東京ってどんな所か知りたいということもあった。東向島から浅草まで江戸、明治の情景を二重映しにしながら歩くのも面白いと思った。夏だし自転車にするかもしれない。
明治維新の内戦時にも江戸無血開城で焼かれずに残った江戸や明治の情緒は3月10日の大空襲で焼き払われたかも知れず、昔の面影はもう残ってはいないかも知れない。僕の故郷の丸亀城の北側にあった明治からの兵舎も昭和40年代までは住居として使われていたけれど、その後取り壊されて合同庁舎になっている。だから、たとえ大空襲がなくても別の建物になっているかもしれない。なのでアマゾンのカスタマーレビューにあった『東武線伊勢崎線・東向島から隅田川に沿って浅草まで歩くと、当時の風景が追体験できます。』というコメントが気にかかる。
王宮のそばでさえも牛屋小屋のようなむさ苦しい住居が立ち並び、むせ返るような糞尿の臭い漂う漢城から来た朝鮮通信使たちの度肝を抜いた江戸の威容と情緒はもう残っていないかもしれない。絶望的な国の貧困を見られて、見下されるのを恐れた李朝は、他の理由をつけて、江戸の使者をソウルには決して入れようとしなかった。いつの時代でも高飛車に出るのは貧者であり、弱者である。夫婦喧嘩でも強いものが折れて出なければ話はまとまらない。日本も竹島あげますって言ったらどうでしょう。国際司法裁判所で日本の物であると判決を受けたあとで、竹島あげますっていうはどうでしょう。
ソウルへ行くときは何の本を持って行こうかな。
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